さかさま日記

食べたり読んだり只今脱皮中

わたしの部屋の記憶

今週のお題「わたしの部屋」に参加してみた。

最初の記憶。幼稚園の時の部屋から始まっている。オレンジ色の絨毯が敷き詰められていて、ぬいぐるみとリカちゃんハウスがあった部屋。
転勤、転校が多かったので、私の部屋は次々変わったけど、家の中で一番小さな部屋はいつも私の部屋になった。

小学校高学年の部屋も忘れられない。四畳半の真四角な部屋で緑の絨毯が敷いてあり、天井からピノキオの操り人形がつるされていた。母親の趣味だ。
なかなか学校になじめなくて、家に帰ると吐いちゃって、保健室の先生は自家中毒と母親に言ったらしいが...。
隣の姉の部屋からはピアノの練習曲が聴こえてきて、わたしはゲポの染みがついた絨毯のうえで学研の科学の付録についてきた蟻のアパートを眺めていた。蟻の家族が部屋を広げて働く様子を飽きもせず観察してた。我ながら暗かったな、あの頃は。

一番嬉しかった部屋は、やはり大学生で初めての一人暮らしをした六畳風呂トイレキッチン付きアパート。
自分の部屋に玄関があって、一家の主。最高な気分で絨毯の色はグレーにした。自分で決めた。学生だけが住むアパートはいつも賑やかで小さな台所でいろんな料理を作ってはパーティーをした。親の監視下から離れた解放感があの部屋にはあった。

こうして記憶をたどってみると、歴代のわたしの部屋全部が絨毯の色つきで写真をみてるかのように思い出せる。

今の部屋は四畳半。フローリングで絨毯もない。部屋といってもベッドと自分の本、洋服があるだけ。飾りといえるのかわからないが、カレンダーと目覚まし時計三個。積んだ本の上に猫のぬいぐるみが横たわっているくらいだ。殺風景。寝に帰るだけのわたしの部屋。

次の自分の部屋はどんなところだろう。

日当たりと風通しがよくて、猫がにゃーにゃーすり寄ってきてくれたら!素敵なインテリアなんてもはやどうでも良く、猫の気配がする部屋が今一番憧れの部屋かもしれない。


今日の一曲 大貫妙子 『部屋』

Taeko Ohnuki 部屋

今日の一冊
金井美恵子『あかるい部屋のなかで』

この部屋は日当たり風通しがわるく湿度が高そうだ。あかるい部屋のなかの住人はいつも倦怠感でいっぱいなのだ。クールな会話が上滑りしていく。
金井美恵子の短編は最高だ。